葬儀のあと、火葬場にとどまり収骨時にお経を読みます。他の僧侶、僧侶不在の収骨の皆様や火葬場の職員の声が消えないように、大きな声は出しません。その後、初七日法要となります。
ご高齢の女性の火葬後のお骨をみると、大腿骨は金属製の人工関節に置き換えられていることがあります。もちろん男性でもあります。故人は、股関節の手術のあとのリハビリテーションも大変であったと思います。
最近も股関節の手術をしたのですが、2週間で退院したとお聞きしました。リハビリは、通院とご自分の努力でするように、と言われたとのこと。
高齢化にともない股関節症と股関節の痛みを持つ人が増えています。鎮痛剤はありましても、病気自体に対する薬物療法はありません。痛みから完全に解放されるために、手術となるようです。
しかし、久留米大学医学部整形外科教授であった井上明生先生(1935~2019)のお話です。貧乏ゆすりのようなジグリングにより関節の中は、関節液で満たされてくると言うのです。関節液は潤滑油ですね。潤滑油ができてくるので、軟骨ができてくる(再生する)ようです。関節液から栄養が補給され軟骨が再生すると言っています。硬い骨盤骨と大腿骨の両面にクッションとなる軟骨ができてくるようです。クッション・緩衝物ができて、痛みが軽減します。
査読のある(ここが大切)英文雑誌に、これらのことの記述のある原著論文が採択されています。つまり雑誌の査読者からも、間違いのない研究方法と結果であると認定されていることになります。
すごいですね。素晴らしい発見です。井上先生は、ジグリングを「ひらめき」により治療法に取り入れたとのことです。今や、ジグリングについて、いろいろな先生が書いたりしゃべったりしています。しかし、井上先生のオリジナルの研究です。
井上先生はジグリングと杖をすすめています。痛くなくなれば杖は不要となります。これもすごいです。痛くない方の手に杖を持ちます。階段では、痛い脚から降ります。健康な脚から昇ります。股関節に負担のかかる筋力トレーニングはすすめていません!(驚きでした)。でも、太らないようにして下さい。器械もあるようですが、器械なしでできるようになれば、どこででも、もいつでもできますね。
私の身近にも、整形外科医から将来は手術ですね!と言われていましたが、ジグリングにより痛みが軽減し、長い距離を普通に歩くことができるようになった方がいます。
また、若い皆さんにもリラックス法としてすすめています。「びんぼうゆすり」ではなくてクールに「ジグリング」と呼びたいです。
ジグリングで股関節の痛みがとれましたら墓参におでかけ下さい。
<文献>
単行本です。井上明生他.人工股関節にちょっと待った!「びんぼうゆすり」で変形性股関節症は治る!株式会社H&I 2017年 東京 1000円
和文論文です。広松聖夫,井上明生.貧乏ゆすり(Leg jiggling)は軟骨再生に有効か? Bone Joint Nerve. 2013;3: 475–82
査読のある英文雑誌に掲載されています。 Yoshizuka H et al. Short-term changes in radiographic joint space width after jiggling exercise as conservative treatment for hip osteoarthritis: A retrospective case series of nine patients. PLoS One. 2021 Jun 22;16(6):e0253643 (Impact factor: 3.2)
お骨に関する過去記事です。
令和3年2021年10月25日住職にカウンターパンチ お骨になってほめられてもねー! https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/10294