ひとり住まいで亡くなり、警察署や監察医務院にご遺体が運ばれることが多くなった印象です。検死が終わるまで、葬儀の予定が立たないことがあります。死因が不明の場合、自宅や警察署で監察医による検死をうけます。「死体検案書」がつくられ、その後、火葬することができます。簡単に死因がわからない場合には、監察医務院(大塚)で、死因を知るために行政解剖が行われます。遺族の承諾とは関係なく行われます。
殺人事件など犯罪性がある時は、法医解剖が行われます。東京では、かぎられた大学の法医学講座が解剖を担当しています。以上は、死因を精査し、また外因死と内因死を区別するために行います。外因死とは、事故、中毒、殺人などによって外傷を受けたことによる死亡のことです。反対に、病気による死亡は内因死と言います。医学生が行う解剖は、系統解剖と言い、献体されたご遺体の構造をとことん知るために解剖します。主治医の見守る中で亡くなると、「死亡診断書」をもらうことができます。また、病死が明らかでも、病理解剖(剖検)が行われることがあります。異なった名前の解剖をするには、それぞれ公的な資格が必要です。私は「死体解剖資格」を持っています。千以上のご遺体の病理解剖をさせて頂きました。勉強になりました。故人と解剖を許可頂きましたご遺族に心から感謝しています。また、畏敬の念を抱いています。
病理解剖で得られることは、亡くなった患者にはありません。しかし、ご遺族は、故人がどようにして亡くなったのかを知ることができます。これは親しいご家族を亡くしたことを受け入れる助けになると私は考えています。医師には、診断・治療の妥当性を検証でき、誤診の有無を知ることができ大変勉強になります。このため、次に診療する患者のためには、大変役立ちます(利他)。
病理解剖を医学葬(医学に貢献するともらい)と考える人がいます。
長くなりましたので、次回、最近のできごとをもう少し具体的に書きます。