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2021年7月1日

新型コロナウイルス感染症患者の肺を顕微鏡で観察すると

最初に、最も下段に「高齢者の肺」と「新型コロナウイルス感染で死亡した患者の肺」の顕微鏡写真があります。

肉眼写真ではありません。しかし、ご気分の悪くなりそうな皆様は閲覧を中止して下さい。

 

東京都監察医務院の濱松晶彦先生と東京都健康長寿医療センター病理診断科の新井冨生先生に新型コロナウイルス感染症で亡くなった患者の肺の所見(見た結果)を講義頂きました。勉強させて頂きました。お二人に心から感謝申し上げます。お二人の知識と経験は、私(病理医)の何十倍もあります=本当です。

ヒトの肺の重さは通常250 gから350 gです。しかし、新型コロナウイルス感染症により死亡した患者の肺は、600 gから1000 gでした。水分などが貯まって重くなっています。

正常の肺の割面は、肉眼ではスポンジのように見えます。顕微鏡で視てみました。空気の入っている肺胞(径0.2 mm)と毛細血管の間は、とても薄い肺胞上皮(厚さ0.3ミクロン:1ミクロンは1000分の1 mm)が隔てています。肺胞上皮を通過して、酸素と二酸化炭素の交換が行われています。肺胞上皮がとても薄いために、毛細血管から二酸化炭素が肺胞に出ていき、酸素が肺胞から毛細血管の中に移動します。つまり、ガス交換です。

しかし、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者の肺胞は、血液からしみ出した液体で充満しています。赤血球もあります(出血)。空気が肺胞に入っていきません。肺胞の壁も厚くなっています。ガス交換ができません。

また、肺胞上皮が本来の薄い構造から、皮膚のような厚い組織に変化しています。これでは、やはりガス交換はできません。指先をはさんで、酸素飽和度を測るパルスオキシメーターの値が悪くなるはずです。

皮膚のような厚い上皮は、ガス交換ができるもとの薄い上皮に戻るのでしょうか。簡単には戻らないのではないかと思います。感染症から回復しても、息切れなどの後遺症がひどいようです。肺胞から酸素を取り込むことが難しくなっているのでしょうか。

11月13日(土曜日)合同講演会 午後2時からの「福性寺健康長寿講演会」では「新型コロナウイルス感染症」についての講演を新井冨生先生にお願いしました。3時から「堀船郷土史を語る会」主催講演会です。

左 老人の肺 右上 本来空気のある場所・肺胞などは血管から出てきた液体で充満しています 右下 ガス交換が不可能な厚い上皮(矢印)が観察されます

左 新型コロナウイルス感染症ではない老人の肺の顕微鏡写真 Aは空気です 右上 新型コロナウイルス感染症患者の肺 本来空気のある場所・肺胞など(A)は血管から出てきた濃いピンクの液体で充満しています 右下 ガス交換が不可能な厚い皮膚のような上皮(矢印)が観察されます A本来空気のはいっている場所  東京都監察医務院濱松晶彦先生提供 

 


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