お檀家のご先祖様への供養ばかりではなく、広く一切の諸精霊をご供養する法会が施餓鬼会法要です。施餓鬼会法要には、施餓鬼壇が必要です。五如来を祀るための壇です。三界萬(万)霊位牌を安置します。洗米、閼伽水(あかすい)、お供物を置きます。施餓鬼会法要の後半で、壇の前で住職(導師)が施餓鬼法を行い、一切の諸精霊と各家庭の仏様を供養します。
ところで、施餓鬼壇は、漆(うるし)塗りなどの立派で堅固な物がどこのお寺でも普通になりました。普通でないのは福性寺の施餓鬼壇だけです。素朴な木製の組み立て式です。私が僧侶になったころ(また昔話か!と言わないで下さい)は、式衆として出かける近隣のお寺様の施餓鬼会では、同じように皆、組み立て式でした。お檀家の多いお寺の施餓鬼会では、多数のお塔婆の重みで、組み立て式の施餓鬼壇がくずれかけて、法要中に若手の僧侶が施餓鬼壇を支えに行ったりしたこともありました。また、福性寺の施餓鬼壇に飾る五如来の幡は色があせて、もはや色では如来さまを区別できません。
福性寺の施餓鬼壇は昭和の初めに作られたものです。ほぼ、90年間使われています。塗装されていませんので、水拭きした後、組み立てます。組み立ては、単純に見えますが、パズルのように難しく(本当です!)、毎年のこととはいえ、試行錯誤の繰り返しです。今年は、住職、副住職、院代様と男性1人の合計4人で組み立てました。住職は前年の組み立ての記憶がほぼなく、役に立ちませんね。何とか1時間で完成しました。完成した施餓鬼壇を観にきて下さい。
誰からも、漆塗りや春慶塗風の施餓鬼壇(ちょっと高価です)を買っては?との提案はありません。住職が古い施餓鬼壇の組み立てを楽しみにしていることを知っているようです。また、色があせた五如来幡を大切にしていることを知っているようです。
今年の施餓鬼会の次第は以下にあります。健康長寿講演のタイトルもご覧下さい。
https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/3118
去年の施餓鬼会の様子は以下です。
https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1214
平成29年の様子です。
https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/468