老人ホームにおいでのお檀家のおばあ様(90歳代半ば)からお電話がありました。毎朝、お位牌に向かって般若心経を読んでいます。お彼岸や元旦の読経会には必ずご参加を頂いていました。ありがたいお檀家です。しかし、ホームではお線香も灯明も、ともすことができません。大きなお声では読経もできません。
以下にお話のままを書きます。
「お墓参りしないと心がいたんじゃいますね!お墓参りに出かけられないんです。お参りしないとバチがあたっちゃいます。変な世の中になりましたね」ホームから外に出ることができないのです。外出すると、簡単には帰ることができないのです。私も簡単にはお見舞いに出かけることができません。
お墓には、だんな様がおいでです。ご依頼により、寺が代わってお墓の清掃とお参りをしています。また、毎朝の勤行のときに、だんな様のお戒名を奉読するようにも依頼されています。
おばあ様のお話のひとつひとつに回答しました。それでも最後は「やはり、お墓参りしないと心がいたんじゃいますね!」でした。この方の老後の生活の中で、いかに墓参が大切かがわかる言葉です。現世、人生の中で、もはやするべきこと、使命は墓参だけなのであろうと思いました。
菩提寺が近くならば、歩いて墓参できます。ホームにお住まい=集団生活でなければ、ご自由に墓参できます。どうすればよいのか、私にもわかりません。