10月4日の記事の中で「医師や看護師の給与や手当てについて書きます」としました。昨日、このホームページの読者から、読みたいので早く書くように!と促されました。有難うございます。
皆様は、医師の給与は、「医師手当て」により、事務の仕事をする方々よりも少し(公務員では本当に少し)多いことをご存知ですね。なぜでしょうか?子供の時に勉強したから!(笑)とか、難しい職業に就いているから!とお考えでしょうか?また、業務上の義務を負っているからでしょうか?実は、直接、人命にかかわる新たな知識を得るためには、コストがかかるからと私は考えています。
医学は日進月歩です。医師が新しい知識を得るためや、さらにキャリアを積むためには、各種医学会、講習会、勉強会に参加することが必要です。毎月、開かれる勉強会は普通にあります。全て、診断や治療のための知識の向上のためです。参加費(通常1.5万円)、講習会費(通常5~10万円)や交通費など費用がかかります。最善の診断や治療をするためには、これらの研究会・学会への参加が必須です。
しかし、前述の経費のかなりの部分は、医師の個人の負担になっています。「医師手当て」を自分の知識・技術の向上に使用するか、また生活費に充てるかは、医師の考え方次第です。私の友人は、前者、知識・技術の向上に遣っている方が多いです。つまり、本当の知識人と言うことができます。仏教的には言えば「利他」の精神にあふれています。
また、医学雑誌や医学書を読み知識を蓄積することも大事です。最近は病院では、経費の削減のため図書室にも医学雑誌が少ないです。このため、自分の専門領域の雑誌は、自らの経費で雑誌を買うことになります。これらの医学雑誌は、年間10万円程度の価格で、複数を買うこともあります。また、医学書も1冊3-5万円程度で高価です。ちなみに、私の英文医学書第3版(Wiley)でも、400ページ弱で3万円(Amazon)近くの価格です。出版社が価格を決め印税は発展途上国の図書館にこの本を寄贈しています。
一方、看護師にも手当てがあります。看護師が出席するべき勉強会は、医師と同等か、さらに多い頻度で、病院の内外を問わず本当にたくさんあります。その出席率も大変高いです。全て看護学や看護技術の向上のためです。やはり「利他」のための勉強ですね。病院内で開かれる勉強会には、残業手当を支給してほしいです。また、病院外の勉強会の出席には、旅費を支給してほしいです。
学会、研究会や勉強会に費やす時間は、ほぼ「自己負担」(笑)です。多くの場合「自己研鑽」の範囲とされています。