年回忌法要などのお話の中で、釈尊の涅槃:大般涅槃(大いなる涅槃に入る)について、時々お話をします。特に死因について。釈尊は高齢(80歳)であったのですが、老衰で亡くなったのではないと。
これはパーリ語やサンスクリット語学者の翻訳や解説、最近では特に吉次通泰先生の論文の受け売り(笑)です。
吉次先生は最高学府の医学部のご出身です。さらにパーリ語やサンスクリット語を理解されています。大般涅槃経を研究して頂いて、ありがたいです。
先生の以下の2009年の論文を基に、お話をしています。
吉次通泰.パーリ文Mahāparinibbānasuttanta における世尊の死因.Journal of the Japanese Association for South Asian Studies (JJASAS、南アジア研究) 2009;21:133-151. なお、吉次先生は藤原睦憲先生のご法事のたびに、ご来寺頂いています。
論文の本文から
・・・ファジルナガルからクシナガラまで約20kmであるから、普通の速度で歩けば5 ~ 6時間の距離であるが、世尊の病状からすると半日~1日あるいはそれ以上の時間を要したかもしれない。いずれにしても世 尊は、チュンダの饗応を受けてから極めて短期間で死亡したと考えられる。
ファジルナガルは鍛冶屋のチュンダからの供養を受け場所です。
論文の結論から
何を意味するかいまだ定説がないsūkara-maddavを摂取後、短時間に苦痛(腹痛?)と血性下痢、発熱(?)が出現し、口渇 と倦怠感(高度の脱水)が著明であったが、旅を続け、数日以内という短期間で入滅した。下血を主症状とする各種疾患の鑑別により感染性腸炎、とくに細菌性赤痢あるいはアメーバ性大腸炎であったことが推測される。
供養された食べ物は明らかになっていません。お檀家の皆様にお話をしていますように、キノコと豚肉が考えられています。
論文の要約から
・・・年齢、症状、経過・・・などより、細菌(とくに赤痢菌)あるいは赤痢アメーバに汚染された食物ないし飲料水による重症の感染性腸炎であったと推測する。
結論的な文章をだけを抜粋しました。しかし、論文はとても興味深いです。「釈尊がだーい好きな皆さん」=仏教徒には読んで頂きたい論文です。
以下は私の勝手な想像です。暑い国とは言え、キノコや豚肉は調理して:火を通して食べると思います。調理した後、あまり時間を置かずに供養したのではないでしょうか。火を通していますから、傷んだ食べ物が原因ではないような気がします。しかし、供養の後、時間を置かずに症状がでています。やはり傷んだ食べ物?毒キノコも気になります。下血を引き起こす病原体を含む水でしょうか。わからないです。
吉次通泰先生論文。
藤原睦憲先生について。
令和3年2021年1月22日訃報 藤原睦憲先生 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/7926
令和5年2023年5月14日藤原睦憲先生3回忌 友人一同が施主・・・ https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/18006