平成31年2019年2月5日の記事「土手医者!見通すとは?」の続編かな?と思います。
https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/2620
現在でも、私は病理医(学会認定病理医、日本食道学会食道科医)として、顕微鏡をときどき見ています。
顕微鏡の穴の底を見ますから、井戸医者(周りが全くが見えない)ですか。苦笑。見る!で思い出すのは、釈尊(お釈迦様、ブッダ)です。ものを正しくよく見て考えること(「釈尊のように見る」:正見)がとても大切と言っています。
研究所や病院で、私が見ているものは「切片(せっぺん)」です。臨床医が手術でヒト(生物学の種としての人間を表すときにはカタカナで書きます)から切りとった小さな組織(「生検」組織)です。これを顕微鏡で観察できるよう(光が通り抜けるように)に、臨床検査技師が切片を作製します。観察されるヒトの組織の細胞の形や色から、癌細胞(悪性)か癌ではない(良性)かを、病理医が診断しています。これを「病理診断」と言います。癌では「最終診断」となります。外科医などが生検したり、手術で体外に取りだした組織を病理診断する分野を「外科病理学」と言います。機会を見て、誤診についても書きますね。
もちろん、釈尊のように見る(正見)ことはできないのですが、努力して、正しい病理診断に至るように心がけています。専門領域に関しては、少しだけ!自信を持っていました。
ところで、最近、庭のレモンの樹をじっと見ておりましたら、アゲハチョウの「さなぎ」がありました。大切にしている樹ですから、ほとんど毎日、この樹を見ていました。幼虫(いもむし)には気がつきませんでしたね。3-4週間は幼虫の姿で樹にあったと思います。
小さい幼虫は、茶色から黒ですぐ気がつきます。小鳥のフンの擬態です。また、大きくなると緑色で枝にいることが多く、幼虫は太く枝は細いので気がつきます。しかし、今回は3週間以上も見落としていたことになります。
急に自分の観察力・診断力に自信がなくなりました。釈尊から、もう少し「正見」の意味を勉強するようにとのお言葉が聞こえそうです。