前回、PCR検査の思いで・・・について書きましたが、「思いで」まで書くことができませんでした。ごめんなさい。今回の感染症のおかげ(誤用ですね!)で、どなたも知るPCR検査になりました。しかし、PCR検査に要する時間も知らない「専門家」をテレビで視ました。問題がありますね。
実は、私も老化学研究のための「PCR」実験をしていました(テロメラーゼの検出)。その当時の常識では、陰性である対象(ヒト正常食道上皮)が陽性の結果で、原著論文をなかなか書くことができずに困りました。その間に、某有名大学のグループが陰性であると素早く論文報告しました。その後、論文としました(1997年)。しかし、現在は私たちの結果が正しいことがわかっています(組織幹細胞を含むので)。頭の中で考えて原著を書いてはいけません。私も常識にとらわれて(×ひとつ)、論文を書くことができなかった(×)わけです。二重✖バツ(失敗)でした。
ちなみにお話ししますと、それ以来、そのグループからのデータを重視しなくなりました。研究者としては、当たり前ですが、他のグループからのデータをそのまま正しいとしません。印刷されたりPDFになった論文を信じないのです。
「PCR検査」はなかなか難しい検査で、陽性であるにもかかわらず陰性と出ることがあります(誤陰性)。もちろん反対(誤陽性)もあります。誤陰性を「PCRがかからなかったんだね!」などと研究室では話していました。
また、のどや鼻の奥から検体(検査材料)を採りますが、ウイルスを含んだ検体を採ることができないことがあります。
臨床医は症状から感染を強く疑っている時、PCR検査の結果が陰性でも、何度でも再検査をします。やはり、臨床医も科学者ですから、検査結果を丸のみにしないです。何ごとにも正見・正思惟ですね。