最初に、「塗香」は「ずこう」でしょうか?「塗」の音読みは「ト」ですから「づこう」と思っています。
福性寺の行事や年回忌法要では、参加の皆様に塗香をお配りしています。40年前からです。手に塗るお香で粉末です。真言宗の僧侶は一定の作法により、手や胸の位置の衣に塗ります。仏様に、ご挨拶する手(や身体)ですから清潔・清浄にするわけです。
また、口に含んで噛みしめる含香(がんこう)もあります。丁子(ちょうじ)の花のツボミの乾燥したものです。美味しくはありません。でも、口の中に清涼感・清潔感が広がります。こちらはお檀家に差し上げません。しかし、お料理にも使うそうです。
ある行事で、お檀家・ご信徒様への塗香の配布を忘れたことがあります。そうしましたら、「塗香を下さ-い!」とおっしゃるお檀家がおいででした。塗香の意義(重要性)をよくご存じでした。「イヤー!プロのお檀家ですねー!」と、お経の前につまらない冗談を言ってしまいました。大きな笑いが起きて厳粛さが吹き飛びました。「いつまでも素人・アマチュアの住職でごめんなさい」とは言いませんでした。
中には、「住職!法要の後席(昼食)で、お香の匂いが強くてビールが不味いよ!ビールの香りもわからないし」とおっしゃるお檀家(〇田様)もおいでです。永年のお付き合いからお人柄を知っていますので、全く気にしません。「ご先祖様から飲みすぎはダメとの有難いサインですよ!」と、すかさずお返ししました。本当は「そんなこと言うとバチ(罰)があたりますよ」と言いたいところですが、仏様はバチを当てませんから、言いません。
なお、この方の自動車では、般若心経を聴くことができます(📀DVD!に入っています)。髪の毛が短く、私よりも坊さんらしいです。見ため!ですけれど。
それでも、香りの少ない塗香にしました。法要の後席は、ご先祖様との饗宴・供宴(おもてなし)です。このため、現世の皆様にも美味しくお食べ頂きお飲み頂いてほしいからです。