今年5月に集印帳をお持ちになり「豊島八十八番巡拝」でご来寺になったご夫婦と本堂でお話をしました。お檀家ではありません。般若心経を一緒に読みました。命(いのち)とは関係のないご病気も話題となりました。そのご夫妻からお電話を頂きました。
最近、だんな様にがんが見つかったとのことです。大きながんの専門病院で診察を受けています。「標準治療」の説明を受けているそうです。ご自宅から遠方ではない病院です。以上の2点(専門病院と近い病院)はとてもよい選択であるとお話しました。
治療法について、奥様はネットで「毎日」調べているそうです。特に「免疫療法」はどうか?とのご質問でした。免疫療法には、(1)治療効果と安全性が医学的に証明された「効果が証明された免疫療法」と、(2)治療効果や安全性が医学的に証明されていない「効果が証明されていない免疫療法」があるといえます。(2)は治療費を患者が全額自費で支払う「自由診療」として行われています。治療のたびに200万円程度のお金が必要であることが多いです。
奥様は(2)の「自由診療」を考えているようでした。私の意見は、もちろん効果が証明されていない治療法を受けることは意味がないとお話しました。あたりまえですね。
「自由診療」のクリニックのホームページに、治療効果に関する査読(論文を専門家=査読者が読んで「掲載」「修正後掲載」「掲載拒否」の判定を行うこと)のある雑誌に掲載された原著論文(普通は英文)の記載がありましたら、私が読んであげますとお話しました。
お話をお聞きすると、手術不能の進行癌の可能性がありました。多分、「標準治療」でも「免疫チェックポイント阻害剤」を使うことになると思います。このグループの薬は大変高価な薬が多く、一定期間の治療で1000万円を超えてしまう薬価です。健康保険と高額療養費の制度があるので、そのままの金額を患者が支払うことはありません。しかし、それでも高額の医療費がかかります。
奥様としては、少しでもだんな様のためになるのでしたら、自由診療のクリニックで、200万円の治療を何回かは受けるつもりだったようです。「主人のためですから」としきりにお話になっていました。だんな様思いの奥様です。どうしても「だんな様のためにお金を使いたい」らしいです。
だんな様のご病気で奥様が涙を流していると、だんな様が「そんなに悲しむな!」とおっしゃるとのことでした。とても立派なだんな様です。
標準治療について令和2年 2020年10月22日 「トマトとブラックベリー」「民間療法」と「標準治療」 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/7181
「免疫チェックポイント阻害剤」平成30年2018年10月4日知識欲・知識を得たいと言う欲望 ノーベル賞 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1846
セカンドオピニオン令和2年 2020年10月17日「病気になったことを家族が責めるんですよ!」セカンドオピニオンにご来寺 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/7257
食道癌平成30年2018年8月19日 お酒=アルコールと食道癌 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1685