医学上のセカンドオピニオンのために、がんの患者様がおいでになりました。お檀家のご友人です。私の医師としての専門分野は食道学・食道疾患です。
平成28年2016年4月28日食道癌・食道疾患に関するセカンドオピニオン https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/48
本堂にお座りになり開口一番「病気になったことを家族がとても責めるんですよ!」と悲しそうにお話しになりました。病気は食道がんでした。お酒の飲みすぎをご家族からひどく責められているというのです。全く同情してもらえず、がんになったのに「針のむしろ」だったようです。だいぶお酒で失敗をしたことがあるようです。皆様!Me tooですか?ご本人は「やんちゃしてた」と。十分にご自分を責めているようです。
しかし、ご家族とことなり、医師や看護師は決して病気になった原因を責めることはありません。アルコールの過飲、喫煙など生活習慣や性感染症の原因などを責めることはないです。安心して受診して下さい。
確かに、アルコールの摂り過ぎの方は食道がんになりやすいです(条件がそろうと40倍)。特に飲酒後、赤くなる方(フラッシャー)です。食道は皮膚に似た組織です。顕微鏡で視た分類は「扁平上皮がん」です。
平成30年2018年8月13日お酒!の評価 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1646
平成30年2018年8月19日お酒=アルコールと食道癌 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1685
ところで、この患者様は、食道がんの中でも「バレットがん」でした。日本では5%以下の頻度です。しかし、欧米の白人では60-70%を占めます。日本では少ないために、私が外国留学して勉強をしてきたがんです。
胃液や食物が食道の中に逆流すると、逆流性食道炎(胸やけがあります)を引き起こします。その結果として「前がん病変」である「バレット食道」となります。顕微鏡で視ると、皮膚に似た組織から、胃や腸に似た組織に変化します。「バレット食道」から発生した癌が、「バレットがん」です。顕微鏡で視た分類は「腺がん」です。
令和元年2019年6月9日前かがみ姿勢・胃食道逆流症 ニュージーランドでの医学研究 バレット食道? https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/3630
「お酒の飲みすぎが原因ではない」とご説明しました。患者様は大喜びでしたね。いっきに明るい顔になりました。
患者様の来寺の本来の目的である「医師と病院」についてご質問がありました。食道外科では日本(と言いうことは世界)で最も名高い指導者のお弟子さん方の病院とお話しました。また、治りそうなステージでした。ご安心のご様子で帰宅されました。
あらゆる病気の患者様は、罹患したことをとてもガッカリしています。がんではなおさらです。うつ病になる人もいます。さらに、自死(自殺)する人もいます。ご家族は患者様を責めてイジメてはいけません。「それみたことか!」「それみろ!」は絶対にダメです。
病気をどうすれば治すことができるのかをご一緒に考えて下さい。それだけで患者様のガッカリが半分になると思います。御仏(みほとけ)が私たちの苦しみを代わりに受けることを「代受苦・だいじゅく」と言うことは、ご存知の通りです。「半分の代受苦」となると思います。
また、ご一緒に寺社の参拝や、ご先祖様参り・お墓参することにより、今後の精進(不善を断ち善を招く)を誓うことは、心の平安にプラスになると思います。
こんな意味でも、お墓は近くがよいのではないかと考えています。
令和2年2020年8月10日自宅近くのお墓 心の平安をえるため https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/6637
(本記事は患者様ご本人にご一読を頂いております)