本堂でお話をしました。以下、あいかわらず長い文章です。
がん(癌)患者様とだんな様でした。治りそうなステージです。現代医学による「標準治療」の化学療法を受けています。副作用(脱毛・吐き気)がひどくカツラをお使いです。副作用のために奥様が苦しんでいるのを見ることが、とてもつらいとのこと。愛情と同情心に富む優しいだんな様です。来週、26日(月曜日)に入院して、また化学療法を受けるとのことです。
「民間療法」についての相談でした。その「民間療法」は「断食」と「食事療法」で泊まり込みです。また、歩行と瞑想や霊的な内容もあります。宗教的な様子もうかがえます。1日の経費は、中級の旅館に宿泊する程度です。パンフレットを精読しました。科学的データは一切ありません。「民間療法」の有無により、予後(どのくらい長く生きられるか)に差があるとも書かれていません。このため「民間療法」では、なおりませんと率直にお話をしました。
「民間療法」の施設では、医療を行うことができません。私の直接知っている例をお話ししました。肺がん患者で、痰(たん)を取り除くことができずに、寿命を縮めたお話。さらに、胃がんの手術後再発で、最後まで痛み止めを使わずにウオーキングを行い亡くなった方のお話も。
そのあと、あの釈尊(おシャカ様・ブッダ)も、ケガや病の時は「当時の最高の医師」ジーバカ(ジーヴァカ・耆婆・ぎば)の治療を受けたことをお話しました。ジーバカは医師になったあと釈尊の弟子になりました。釈尊は別の場面でも医師による治療をすすめています。
それでも、「民間療法」を受けさせたいと言うのです。
このため「科学的に証明されている」健康にプラスとなる食材をおすすめしました。2カ月前にも、ご相談があり同じ食品をおすすめしました。「リコピンの多いトマトジュース」と「ブラック(ラズ)ベリーのジャム」です。
トマトに含まれるリコピン(tomato lycopene)は、平成3年1990年ごろから注目され、医学・科学論文の数は急上昇して、すでに1500の論文が発表されています。高血圧などとの関係を論じた原著もあります。
ブラック(ラズ)ベリー(black raspberry)は、やはり1993年ごろから論文数が上昇し、約400報の論文があります。がんとの関係を示す論文は、100報以上です。抗老化・抗腫瘍効果があるとの報告もあります。
以上は、元日赤医療センター検査部長 藤原睦憲博士から頂いた知識をもとに科学論文を読んで追加した知識で書きました。藤原博士は、米国(AACR)などの国際がん関連学会に30回近く出かけています。抗腫瘍食品のセッションを必ず聴講しています。原著論文もお持ちです。自費での参加も多く、米国がん学会で得た知識を日本に持ち帰り皆様のお役に立ちたいとお考えです。「利他」の精神ですね。尊敬しています。特にブラック(ラズ)ベリーに関しては、藤原博士がAACRでStoner GD教授(オハイオ州大学)の講演を聴き知識を頂きました。
ご夫妻は「民間療法」施設に行くことをやめるとはお話になりませんでした。しかし、「トマトジュース」と「ブラックベリーのジャム」を治るまで続けてみるとお話になって帰宅しました。
以前の他のお寺の施餓鬼会で以下のようにお話したことがあります。
「癌になりましたら医師にかかることが大事。・・・当たり前のことです。・・・占いやお祈りに逃避して、手遅れになった癌患者のお話をよく聞きます。占い、祈り、祈祷だけでは、癌は治りません」と。このお話をしてから、ご祈祷を行うお寺から講演・法話のご依頼がなくなりました。(笑)
平成29年2017年5月31日 東大和市のお寺で講演(法話)をしてきました https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/514
医聖ジーバカについては以下でも少しふれました。
令和2年2020年5月7日医療従事者に特別手当の支給を 臨床医がうらやましい https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/5990
「利他」については以下にもあります。
平成30年2018年10月4日知識欲・知識を得たいと言う欲望 ノーベル賞 https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1846
平成30年2018年10月27日医師・看護師の手当について早く書くように?! https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/1919
平成30年2018年12月23日原因不明の死 医学葬 利他: https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/2216
(本記事はご夫妻と藤原博士の許可を頂きアップしました)
機会をみて、医学の学術論文の重要性について書きたいと思います。