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2026年5月8日

故人の曾孫(ひまご)が集まる非日常

あいかわらず長文です。数カ月前の葬儀について書きます。

葬儀の準備のために葬儀社と故人の娘様(70歳代)が話しています。枕経のあと、お聞きしました。

5月の通夜式 通夜でも葬儀でも五体を投地した礼拝から始まります 続けて転んでからようやく礼拝ができるようになりました まだ不完全(腰の位置が高い)です 葬儀社(稲葉葬祭社)が毛氈を用意してくれました 萌黄(鮮やかな新緑の色)の衣は副住職です 袈裟はシンプル(金糸がない)ですが最も正式なものです 直綴(袈裟の下)は紫ですが檀家様から見ると黒がよいのでしょうか?

通夜と葬儀の出席者は、故人のお子様夫妻、お孫様と曾孫様とのこと。いわゆる家族葬です。それでも20人近くが集まるらしい。

葬儀社が故人の旦那様の葬儀に関するデータを持参しています。葬儀社の提案は「旦那様の時とだいたい同じでよいですか?」「費用もほぼ同等です」と。費用が同じ?何ごとも、物価上昇の時代ですから、どうしたのでしょうか?良心的です。

娘様からは「お母さんは、つつましくて、いつも節約していたから」との会話が聞こえました。「本当に立派な家計簿をつけていました」とも。お母様の節約がご家庭の財産形成に貢献したと言うのです。

例をあげていました。お母様は洋裁を勉強したそうです。「外出の時のワンピースはお母様が作った」とのこと。ご姉妹・兄弟が大人になってからも、大学生のころまでは、お出かけ用の服は全部作ってもらった」と。

お孫様の学費も、お母様・お父様が潤沢に用意したようです。

境内ではそろそろシャクヤクの花が終わってきました 咲き終わった植木鉢は移動します

通夜の夕ご飯と葬儀後の昼食に話しが移りました。

娘様が言っています。20年以上前の母の母親の葬儀の時の話がでるたびに、曾孫たちが「お通夜のお寿司が美味しかった」「二人分以上食べたと何度も話しています」

当時の曾孫さんは、今回は孫になりました。「20年前と同じように、孫や曾孫には、葬儀の時の美味しいものの記憶を残してやりたいから」と娘様。

そのため、お通夜のお寿司はグレードの高い方となりました。お酒も吟醸酒らしい。

葬儀後の食事(お斎)は「メロン付きがいい」とのことで「カタログの中にあるメロン付きの最も高価な食事」となったようです。「(このお弁当の)お刺身は食べでがあります」と葬儀社。

「母が喜ぶから」「母ならこうするはず・・・」と娘様が話しています。

最近は、どなたも、住職である私も、つい「もったいない」と倹約を考えがちです。私の場合は、「ケチ」(笑)と言う人もいますけど。

娘様はただ節約するだけでなく、ここぞという時にお金を十分に使う。そのメリハリこそが、お母様から受け継いだ「生きた知恵」なのかなと感じました。

一時間もかからず打ち合わせを終えました。

さらに、事前にお布施を福性寺にお届けいただいた時に聞きました。

子供のころの外出のとき、ご自分たちは新しい服装ですが、お母様は地味な服装でした。もちろん清潔ですが「何でもう少しよいもの(高価なもの?)を着ないのかな」と子供心に思ったそうです。

やはり、ご自分は節約をしていても「子供にはよいものを着せたいという親心が心にしみた」とお話になっていました。話しながら涙が見えました。

葬儀は簡素化が主流になりつつありますが、仏教儀礼には本来「非日常(聖なる時間)」としての側面があります。お祝いの時の非日常は、ハレの日です。日常(ケ)とは離れた特別な非日常の日(柳田國男氏)で、祭りや年中行事、人生の節目などを祝うために、「晴れ着」や「ごちそう」で、神仏や人をもてなす日でしょう。もちろんお祝いではありませんが、葬儀にも通じる部分がありそうです。葬儀をハレであるとする人は(私を含めて)多いです(瀬川清子氏)。

本堂西側の建替えていない塀の補強工事 4カ所に補強工事 ツツジが新緑です

今回の葬儀では、故人の曾孫様むけに、美味しい食事が用意されました。これは仏教の慈悲の心に照らしても全く問題ありません。むしろ、「意味不明な形式的な儀式」をこなすこと以上に「ひいおばあさんのお別れの日は、みんなで美味しいものを食べて、温かい時間を過ごしたね」という記憶を孫や曾孫の代まで繋ぐことは、最高に贅沢な供養の形だと思いました。

お母様が遺された「お葬式代」は、まさにそのような家族の絆を再確認するためのギフトとして、正しく使われたと自信を持っていうことができます。

お母様:故人の人生に本当に尊敬の気持ちを持ちました。

本記事はご遺族に一読いただき、ホームページに掲載の許可をいただきました。ありがとうございます。

参考記事

平成30年2018年12月20日憂鬱(ゆううつ)なご依頼 高庵寺様にお借りした知恵  葬儀費用https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/2187

平成30年2018年12月29日最近、流行の直葬とは? お通夜の意義https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/2262

令和4年2022年2月9日ご両親、祖父母様に祈る:お子様の墓参のあと時間をおかずにお母様の葬儀https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/11253

令和5年2023年4月30日 老人ホームにお見舞い「安心しています」https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/17864

令和8年2026年1月17日市場原理と慈悲、定額制https://fukushoji-horifune.net/blog/archives/32671


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